【売れるデザイン、魅せるデジタル vol.2】あなたにとっての「#守りたい夏」は?ブランドジャーナリズムの視点から、夏の象徴『三ツ矢サイダー』を考える 後編

 

※この記事は「あなたにとっての「#守りたい夏」は?ブランドジャーナリズムの視点から、夏の象徴『三ツ矢サイダー』を考える」の後編です。前編はこちら

 

今までエードットグループが関わってきた広告やPRなどについての情報を、写真やグラフィックを添えながら、分かりやすく皆様にご紹介していく企画 「売れるデザイン、魅せるデジタル」。

第2回目は、アサヒ飲料さま(以下、敬称略)の「#守りたい夏」https://www.asahiinryo.co.jp/entertainment/campaign/mitsuya/200518-200630/)というプロジェクトをご紹介いたします。

「#守りたい夏」は、ブランドの持つ「思想」と「美意識」を基点に、社会へのブランドアクションとなる広告を意識した取り組みです。このような考え方を、エードット副社長でありカラス代表の牧野圭太は“ブランドジャーナリズム”と呼び、以前より多くのメディアにて発信してまいりました。

今回の記事では、そのような“ブランドジャーナリズム”の考えに共感いただいたアサヒ飲料の髙橋さんと牧野の2人で対談を行いました。本日は前回に続いて、後編をお届けします。それではぜひ最後までご覧ください。

 

◾️プロジェクト内容
ハッシュタグ「#守りたい夏」をつけてTwitterやInstagramで投稿すると、写真・イラストがフリー素材として、サイトに寄付される仕組みです。多くの人の素敵な夏の思い出、夏の情景が投稿されることで、「夏を守ろう」という思いを作り上げていきます。同時に写真コンテスト(守夏賞)も展開しており、写真家やイラストレーターの方々が審査員となって優秀作品を選定する予定です。

 

◾️このプロジェクトの目的
これまでの『三ツ矢サイダー』のブランドイメージに留まることなく、広く若者に愛されるブランドアクションを目指すことを目的に、アサヒ飲料のみなさまと企画のブレストから一緒に行い、「#守りたい夏」という企画を練っていきました。「#守りたい夏」の企画は、昨今の環境変化により、楽しいはずの「夏」がどんどん失われていってしまっているのではないかという問題意識が起点になっております。環境配慮として、『三ツ矢サイダー』のパッケージリニューアルにより、1本あたりのプラスチック樹脂の使用量を約55%削減。その発表のタイミングに合わせて、「失われつつある夏を守るためにできることはないか」というブランドメッセージを伝えるための取り組みが「#守りたい夏」の企画です。

 

 

ちょうど良い距離感で、消費者と関係を築く。SNSでブランドメッセージを伝える意味とは

 

牧野:今回は、ハッシュタグ「#守りたい夏」をつけてSNSに写真やイラストを投稿すると、それが「#守りたい夏」のサイトに集約される仕組みだったと思います。このようなSNSをメインにしたキャンペーンに対して、なにか新しさはありましたか?

髙橋:昨今のデジタルシフトを進める中で、「キャンペーンでSNSに投稿してもらう」ということは今までにも挑戦してきたのですが…なかなかうまくいっていませんでした。今回、僕自身が勉強になったのは「何かを投稿してもらう」のは心理的なハードルが高いということ。今まで僕たちがやってきたキャンペーンはもしかしたら、押し付けのようになっていたのかなと反省しました。もちろんコピーやハッシュタグ、タイミングや世界情勢など要因は色々挙げられると思います。それでも今回、これだけ多くの人が「#守りたい夏」に反応してくれた1番の理由は、人々の気持ちにちゃんと寄り添った企画だったからじゃないかと思ってます。

 

牧野:なるほど、ありがとうございます。社内の方からも、何か反応があったりしましたか?

髙橋:社内にも掲示板のような情報共有システムがあるのですが、そこに「#守りたい夏」の話を投稿したら、直接お会いしたことのない様々な部署の方からご連絡をいただきました。例えば営業の方だと「夏の思い出を守るために、これからもお客様に商品を届けたいと思いました!」とか。「すごく素敵なタグなので、見ていていいねが押したくなる」とか。そういう声をいただけたのは嬉しかったですね。それに、1週間で何千件も投稿がくるなんて今までにはなかったことなので、快挙というか。社内、社外ともに、素敵な企画だね。という反応をいただいてます。

 

「#守りたい夏」で検索すると、たくさんの写真やイラストが投稿されている

 

牧野:それは嬉しいです。僕も「#守りたい夏」で投稿されたものを見て、めちゃくちゃ癒されていました。しかも指定していないのに、『#三ツ矢サイダー』というハッシュタグを付けて投稿してくれている人も結構いましたよね。「『三ツ矢サイダー』がやっている企画」ということを、ちゃんと認識して参加してくれている方が多いなという印象を受けました。

髙橋:そうですね。人それぞれに夏の思い出があるんだな、と思いますね。日本の夏の素晴らしさ、写真のクオリティの高さにもびっくりしました。それに今回の企画は、『三ツ矢サイダー』との距離感がちょうどよかったのかなと思いますね。僕たちだと「『三ツ矢サイダー』と一緒に写真を撮ってください」という企画をやりがちなんですが、それだとここまで投稿されなかったと思うんですね。なので「夏」とか「みんなの思い出」にフォーカスしたことが、一見遠回りには見えますが、結果的に『三ツ矢サイダー』との“良い関係”ができたんだと思います。

 

牧野:「この企画自体が好き」と何回も投稿してくれている方や、プロの写真家の方も参加してくれています。今見たら、投稿が全部で5433件(2020年6月4日時点)。びっくりすることに、初日で2500件くらい投稿があったんです。この投稿を集めて広告が作れたらいいですね

髙橋:おっしゃる通りで、僕もこの企画をどこかで形にできたら…とは思ってます。いろんな「#守りたい夏」を見て、何かを感じてもらえる場が作れればいいなと。まだ割合としてはマスメディアへの露出が多いですが、今後デジタルにも力を入れていかないといけないとは思っているので、そこをうまく掛け合わせていきたいですね。企画によってはSNSもマス以上の力を秘めていると思います。そのためにも、きちんと良い企画を作っていく。ブランドが「どのような想い」で「どのような使命を果たしていくか」ということを定義し、それを社会に対して発信していくことにさらに力を入れていきたいです。

 

「#守りたい夏」を見ながら会話するふたり

 

ブランドの世界観と世の中の交わるところ。ブランディングとマーケティングを融合し、より良い社会をつくりたい

 

牧野:今後チャレンジしていきたいことは何ですか?

髙橋:『三ツ矢サイダー』と共により良い社会を作っていきたいです。と言っても、僕らができることは限られています。今回のラベル軽量化も、地球環境からしたら大した変化じゃないのかもしれない。でもそれがやらない理由にはならないと思っています。今回の企画では「夏」との繋がりに着目しましたが、『三ツ矢サイダー』には136年の歴史があるので、他にももっといろんな人々の思い出があったり、様々なシーンに寄り添ってきたんじゃないかなと思うんです。今回皆さんが投稿した写真を見て、僕らもすごく楽しい気持ちになったので、このような「生活者と同じ目線で楽しめる企画」はすごくやって良かったです。そしてこれに満足することなく、今後もどんどん新しいチャレンジをしていきたいと思ってます。

 

牧野:僕も、広告が社会にとってより意味のあるものになったらいいなと思っているのですが…そのような考え方に共感してくれる人って、実はまだまだ多くなくて。1本でも多く売るというマーケティングと社会性との両立について、実際にブランドを担当する企業のみなさんはどのような認識を持たれてるのでしょうか?

髙橋:セールスプロモーションはもちろん売り上げに寄与しますが、乱発することによって、商品のライフサイクルが短くなってしまわないか?という危惧はあります。特に、今の若者の選択の基準って、僕らが思っている以上に変わってしまっていると思うんです。価格ではなく、ブランドがどのようなビジョンを描いているか、ってことに共感してものが動いている社会に変わってきている。なので「商品起点」ではなく「社会起点」へレイヤーを上げて考えないといけないと思ってます。

 

牧野:「若い人たちの選ぶ基準が変わってきている」というお話にもありましたが、社会性のある広告をつくることで、日本や世界でものすごく広まり、結果的に商品の売り上げも上がる、という構造がつくれるはずだと僕は思っています。どうしても「社会性のブランディング」と「1本でも多く売るマーケティング」が、まだ認識として切り離されてしまうと思うのですが、絶対この2つを融合させていきたいですね。

髙橋:そうですね。ぜひその部分を牧野さんと一緒にチャレンジさせていただけたら、僕もすごく嬉しいです。この経験は次に活かしていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。

牧野:こちらこそ、ありがとうございました!

 

最後は髙橋さんの「#守りたい夏」を背景に記念撮影。髙橋さんの「#守りたい夏」は、昨年鹿児島で撮ったというお子さんの写真。

 

▶︎「#守りたい夏」サイトはこちら

 

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