リアルに代わる“満足感”を生み出すには?Birdmanが切り拓く新時代のエンタメ

企業のブランディングや広告・PR、事業開発を支援する株式会社Birdmanは、2021年9月に新規事業を発表しました。それは、これまで全く関わりのなかったようにも思えるエンタメ分野!この発表に驚かれた方も多いのではないでしょうか。

「エンターテインメント・トランスフォーメーション事業」(以下EX事業)と名付けられたこの挑戦において、先頭を走るのはBirdman取締役でEX本部長の伊藤統彦さん。月額制ファッションレンタルサービスairCloset、美容院情報サイトのビューティーナビなど、デジタルとマーケティングを軸にキャリアを築き2021年にBirdmanに入社した伊藤さんに、立ち上げの経緯やEX事業が目指すところを伺いました。

伊藤統彦 / MOTOHIKO ITO

取締役/エンターテインメント・トランスフォーメーション本部長

「デジタル × マーケティング × 事業企画」を軸にキャリアアップ。 前職はビューティーナビ株式会社にて、伊藤忠商事グループから独立後に参画。 月間1,000万トラフィックを保有するサイトのCMO兼CSOとして3部門を管掌。 出口戦略のプロジェクトを推進後、現職へ。Birdmanでは新規事業として、エンターテインメント・トランスフォーメーション本部を管掌。既存資産を活用しながら、エンタメDXを推進している。好きな言葉は「勝てば官軍」、趣味は「毎週月曜の朝サウナ」

「デジタル配信」を超えた、ファンと一体感を生み出すコミュニケーションを



―はじめに、EX事業の内容を教えてください。

Birdmanの武器であるマーケティング支援力やデジタルテクノロジーを使い、新しいエンターテインメントのモデルを作る事業です。近年話題になっている言葉を使えば「エンタメのDX化」とも言えます。とくに日本にデジタルコンテンツの市場規模は10兆円を超え、年々増加していますが、僕らが目指すのは“新しいコミュニケーションの形を作ること”、そして“アーティストの成長を促すこと”です。

そもそもエンターテインメント業界というのは、様々な制約やしがらみのある業界と言われてきました。ただ、近年は個人発信、セルフプロデュースの波がきていて、アーティストはプロダクションに頼るのではなく、自立して活動していくんだという風潮がありますね。

その一方で、個人が持つリソースには限りもあります。すごく良いものを持っているのに、あとひと押しが足りない、もしくはまだまだ伸びる可能性を秘めたアーティストが大勢いる。彼らのポテンシャルが例えば10だとしたら、僕らの力でそれを100にも、1000にも押し上げるようなプロデュースができればと考えています。


―新しいコミュニケーションの形とは、どういったものをイメージしていますか?

エンターテインメント、とくに国内の音楽に関しては、コロナ禍でライブやフェスが中止になっている状態――最近こそライブイベントは再開していますが、2020年はまったくといっていいほどできなかったわけです。これまでアーティストとファンが行っていたようなコミュニケーションのあり方が崩れてしまったと言ってもいいでしょう。そしてリアルに代わるものとして、デジタルの重要性が高まりを見せています。

ただし、単純にイベントをデジタル配信しただけでは解決策になっていません。例えば日本のライブには「ファンがライブ会場で推しのカラーのペンライトを灯して振る」という文化があります。それは、ただペンライトを持っているわけではなくて、アーティストとファンにとっての一種のコミュニケーションだと僕は思っています。こういったリアルならではの体験は今のデジタル配信では補えず、ライブ配信のコミュニケーション満足度がなかなか満たされていないんですね。

―確かに、デジタル配信はある程度浸透したものの、結局はリアルの現場にお客さんが戻ってきています。

だからこそ、その新しいコミュニケーションの形を作っていくのは僕らなんじゃないかと。元々、手段に囚われずに課題を解決していけるというのは、Birdmanの強みのひとつ。このエンタメ業界の課題を解決するという意味でも、新たなコミュニケーションの形を作っていきたいと思っています。

―そもそも、この事業を立ち上げることになったきっかけは?

Birdmanは前身の株式会社エードットが2020年に上場し、2021年2月に今のBirdmanという名前に社名を変更。これから更なる成長を目指していこうという時で、次に打つ一手をどうするかというのは、経営戦略のテーマとして非常に重要でした。

僕自身がBirdmanにジョインしたのは2021年の6月。代表取締役社長の伊達晃洋と話し合いを重ね、様々な事業の可能性を探ったなかで、自分たちがすでに持っている「デジタルテクノロジー」「マーケティング支援力」「企画力」という資産を生かせる場所、そしてマーケットの可能性というところを丹念にリサーチして事業を立ち上げることにしました。

―なぜ、その一手が「エンタメ」だったのでしょう?

ひとつは、先ほど述べたようにエンタメ業界に課題があったことです。アーティストやそのファンが現状に不満を持っているなら、それをBirdmanが持っているデジタル技術や企画力でどう解決できるかチャレンジしたい、という思いがありました。

もうひとつ、これは僕自身のことなのですが、これまでデジタルを使った自社サービスの運営を務めるなど、コンテンツビジネス側でキャリアを積み上げてきました。エンタメ業界でこそないものの、ファンの方に喜んでもらえるサービスを企画し、価値を提供し、そこに対してお金をいただくというモデルは同じです。そういった知見を生かせるというのもありました。

Birdmanは広告や販促など、マーケティング支援や事業プロデュースから始まった会社ですから、これまで自社のオリジナルコンテンツ、サービスというものはなかったわけです。今回事業立ち上げにあたり、アーティストの7ORDERと組んだことでコンテンツを提供できるようになったことは、ひとつ大きなことなんじゃないかと考えていて。このEX事業を会社の起爆剤にしていきたいという思いを強く持っています。

7ORDERは、安井謙太郎、真田佑馬、諸星翔希、森田美勇人、萩谷慧悟、阿部顕嵐、長妻怜央からなる新進気鋭の7人組アーティスト


アーティストと並走するパートナーとして、業界に新しい風を


―このEX事業を語る上で欠かせないのがアーティスト、7ORDER。彼らと“グロースパートナーシップ契約”というものを結んだそうですが、それは一体?

一般的なプロダクションの場合は、アーティストは“所属する”という形になっていて、マネジメント側からのトップダウンで仕事を行っていきます。「君たち、今後はこういうプランでやるからよろしく」といった感じです。

僕らBirdmanと7ORDERは、あくまで対等な立場で、お互いの事業を成長させようということでこのグロースパートナーシップを結びました。今後目指すべきところも彼らと一緒に決めていきますし、協議に必要な数字はすべて開示しています。つねに透明性を保ちながら、お互いにとって利益になることを一緒に伸ばしていきたい。これが正解かどうかはまだわかりませんが、新しい形であることは間違いないですよね。

そしてこれをエンタメ業界の正解モデルのひとつにできるよう、まずは7ORDERとのパートナーシップを必ず成功させたい、させなければいけないと思っています。一方で、既存の芸能プロダクションと対立するつもりは全くないので、今後プロダクションに対して、僕らがお手伝いをさせていただくというような展開もありえるかもしれません。


―モデルケースにしたいという思いがあるのですね。その場合、初めに組むアーティストは一番大事といっても過言ではないと思いますが、パートナーとして7ORDERとやっていくと決めたことにはどんな理由が?

業界におけるそれぞれの立場に似たストーリーが感じられることが、ひとつの理由としてあげられます。

まずBirdmanという会社は、デジタルテクノロジーを武器に広告業界のなかで独自のポジションを形成してきました。そして、7ORDER自身もエンタメ業界のなかで珍しいセルフプロデュースのグループで、オールドメディアだけに頼らない活動をしています。このような商慣習や業界の常識にとらわれない”両者の独自性”という点には共感を覚えます。

どうしても様々なしがらみのあるエンタメ業界において、例えばですが、7ORDERを東京ドームに立たせることができたら……? これは非常にインパクトがあり、快挙にもなると僕は思っていますし、その挑戦にすごく魅力を感じているんです。

―パートナーとして活動するうえで伊藤さんが感じる、7ORDERの魅力は?

非常に多様性があることだと思います。グループとしては、歌はもちろん、ダンスもバンドもできる。そしてそれがどれも高いレベルにあるんです。また、個で見た時に7人のメンバーそれぞれに強みがあります。俳優業をしているメンバーもいれば、声優業に挑戦しているメンバーもいます。楽曲制作、自分自身で事業のプロデュース……本当に多彩で、多様性があるのは大きな魅力ですね。

じつは多様性があるがゆえに困ることも。何でもできるからこそ、こちらがクライアントに7ORDERを紹介する時やマーケットに向けてメッセージを発信していく時に、彼らの良さをどう表現すれば一番よく伝わるのか悩んでいます。まさに今社内のスタッフやメンバー、レコード会社の方々とも、グランドプラン含めて協議をかさねているところです。

7ORDER LIVE TOUR 2021-2022「Date with…….」より
(C)Point of Action,Inc.鈴木俊則

5D LIVE®、新しいコミュニケーションへの1歩


―今後の事業展開についてどんな構想をお持ちですか?

Birdmanの既存事業であるマーケティング支援、ブランディング・PR業務との相乗効果を見込んだ事業を考えています。

短期的にいうと、Birdmanが元々持っている資産、つまり企画力やSNSやWEBを活用するマーケティング力を使って7ORDERの魅力を最大限に引き出していきたい。7ORDER自身の人気が上がれば上がるほど、ひいては企業価値を高めることにも繋がると思っています。

そして、既存事業とも上手く掛け合わせていきたいですね。すでに人気のある彼らですし、Birdmanがブランディングや広告事業のクライアントへ企画提案する際に、彼らを起用するプランも提案できます。

ちなみに、ここにもパートナーシップのメリットがあって。通常のクライアントワークでは、クライアント、僕ら企画・制作者、そして起用するアーティストと3社で調整を行うため、ある程度プランニングして、実行して、終わり。となってしまいます。僕らであれば、企画制作とアーティストは同じチームですからすばやく多くの情報を得ることができ、PDCAを高速で回すこともできるんです。

そして、中長期的には、デジタルテクノロジーをうまく使うことで、ファンとの新しいコミュニケーションを作り出したいですね。


―そのひとつが先日発表されたBirdmanの新サービス「さわれるライブ®  5D LIVE ®」でしょうか?

これは非常に大きな可能性があると思っていますよ。今でこそ感染状況も落ち着いてライブイベントが開催できてはいますが、コロナが完全になくなるというのは考えにくく、この先何年かは上手く付き合っていくしかありません。今までのようにアーティストの収入をライブツアーだけをベースに考えたらまずい。でも、単純な配信ではファンを満足させることは難しい……。

そこで「5D LIVE®」を活用したライブ配信もできればと考えています。このサービスは単純なデジタル配信では終わらず、一歩踏み込んだ機能を持ち合わせています。スマホの操作によってメンバーを好きな角度で見ることができたり、画面をタップするアクションでライブの背景が変わったり。リリース後は、ユーザーヒアリングを重ねつつ、新たなコミュニケーションの形も模索していきたいです!

今挙げた例以外にも様々な操作性があり、エンタメ以外の分野でも活用することができます。一種ベータ版に近いものでもあるので、EX事業部としても新しい活用方法を提案していけたらいいなと考えています。

Birdmanでは、EX事業や新たにリリースしたばかりのプラットフォーム「さわれるライブ® 5D LIVE®」を活用したお仕事のご相談も承っております。お気軽にお問い合わせください!

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